Elvis Costello and the Imposters Japan Tour 2004 ここはファンサイトです
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12/08/2004
東京厚生年金会館。初日。私がステージに立つわけでもないのに緊張しまくる。
 
12/09/2004
東京厚生年金会館。開演前はスティーヴに遭遇し、終演後にはコステロからサインをもらう。
 
12/10/2004
グランキューブ大阪。行かなかったので、行った人の感想を聞いた感想。
 
12/11/2004
高円寺・円盤のイベントへ。ゲストはピーター・バラカンさん。
 
12/12/2004
Zepp Fukuoka。体力勝負のド迫力ライブ。今回唯一の30曲越え。
 
12/14/2004
東京厚生年金会館。セットリストに嵐が起きた東京最終日。
 
12/15/2004
愛知県勤労会館。日本公演最終日。気合の入った客が集結。
 
12/16/2004
大阪・心斎橋クアトロ。スティーヴ・ナイーヴのソロライブ初日。
 
12/17/2004
東京・青山CAY。スティーヴ・ナイーヴソロ公演。ついにミッション達成。
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"The Delivery Man"
Elvis Costello
& The Imposters

 

"The Delivery Man(2cd)"
Elvis Costello
& The Imposters

 

"Windows"
Steve Nieve

 

"It's Raining Somewhere"
Steve Naïve

 

"Jackshit"
Jackshit

 
* * *
 

"Heavy Heavy
Monsters Sounds of"
Dave & Ansel Collins

 

"West Side Story"
Leonard Bernstein

 

"The Best of "
Doug Sahm
& The Sir Douglas Quintet

このページについて
■ここはエルヴィス・コステロ&ジ・インポスターズの来日公演の思い出を綴ったページです。恥ずかしいくらいに私的な旅行記で、ライブ評とは呼べない代物であることをご了承ください。

■一般的でないと思われる語句については用語解説を用意しました。

■このページは、今後大きく更新することはありません。コステロの最新情報はayakoさんJohn.Eさんの素晴らしいファンサイトをお薦めします。John.Eさんのサイトには今回のセットリストがすべて載っています。

beatleg誌のVol.55(2005年2月号)、Vol.56(2005年3月号)の棚橋憲治さんによるライブ評、Smashing Magライブレポートもオススメ。

■本文中に登場するファンの方々のお名前は、ハンドルネームやイニシャルで書いています。また、一部リンクをしている場合もあります。お名前の表記やリンク先に不都合がある場合はすぐに修正しますので、お手数ですがメール(1103@tko.club.ne.jp)にてご連絡ください。

■制作者はhitomiです。メッセージは日記サイト併設のBBS、もしくは上記のメールアドレスまで。どちらもお気軽にどうぞ。
12/08(wed) Tokyo, Kosei Nenkin Hall
Elvis Costello and the Imposters  ツアー初日。定時より3時間早く仕事を始め、18時を少し過ぎた頃会社を出る。厚生年金会館に脚を運ぶのは、数年前のキング・クリムゾン以来だ。途中のハンバーガーショップでスタッフらしき人たちを目撃し、気持ちがどんどんたかぶってくる。

 物販コーナーで今回のツアーパンフとスティーヴ・ナイーヴのソロCD『Windows』を買い求めて座席へ。ご、5列目ってこんなにステージに近いのか。コステロのライブでは、去年のフジロックや一昨年の赤坂ブリッツでいいポジションを取ったけど、指定席でこんなにいい席だったのは初めて。いつも1階後方や2階席からオペラグラスで見ていた私にとって、こんなにいい席は心臓に悪いかもしれない。ただでさえ久しぶりのコステロライブで緊張していてお腹を壊しているというのに。出掛けに飲んだ正露丸よ、頑張ってくれ。開演まで少し時間があったので、会場内を徘徊。ネット上で(わりとコステロとは関係ないことで)コンタクトを取っていたCabさんの座席までご挨拶に伺う。落ち着いていてオシャレな方だ。Cabさんの近くには、こちらもネットやメールでしかやり取りのなかったMEGさんが。フジロック組(*)のアホな企画(たつさんのblog参照)に賛同したとは思えないくらい優しいムードの女性だ。ついMEGさんが「S!」とポーズをキメて叫ぶ様を妄想してしまい、必死に笑いをこらえる。

 開演時間を少し過ぎたところで客電が落ちてアナウンスが流れると、コステロがメンバーを従えステージに登場。うわー、オッサンたち走ってるよ! コステロ、スティーヴ、ピートの衣装に目新しさはなかったが、デイヴィーのオシャレっぷりが際立っている。コナン・オブライアン・ショーのときのような、まさに歌うベースマンの衣装。きまってるよデイヴィー!

 これから始まるショウを一番楽しみにしているのはこの人ではないだろうか。そう思わせるような笑顔を見せながら「How are you!」とコステロが叫んだあと、ファンにはお馴染みの"Accidents Will Happen"、"Tear Off Your Own Head"、"Radio,Radio"、"Sulky Girl"などが立て続けに披露される。Doll Revolutionが発表されてから2年と少ししか経っていないのに、すでに「お馴染み」と思わせるあたり、その間いかにコステロがライブをこなしているかを改めて思い知らされた。

 コステロのライブを何年か追い続けて感じるのは「一回りするとさらに良くなって帰ってくる」ということ。新譜のプロモーションを兼ねたツアーで聴く新曲は決して悪くはないけど、どこかこなれていない感触が残っている。しかし、次のツアーで聴くとグンと良くなっていることが多い。この日は前作『North』から"You Turned To Me"を、前々作『When I Was Cruel』から"When I Was Cruel No.2"を聴くことができた。特に"You Turned To Me"は、『North』からの曲を1曲でいいからまた聴きたいと思っていた私にとって感動的だった。今回はバンド編成ということもあって、まずやらないと思っていただけになおさら嬉しい。去年よりずっと表情豊かなコステロの声はもちろん、『North』には参加していなかったピートとデイヴィーが素晴らしい。ジャズのベーシックなマナーを押さえた気持ちのいい演奏で、コステロとスティーヴの音にすうっと溶け込んでいる。

 アンコールでは新譜からの曲が3曲。そのうちの1曲は、新譜の中で一番好きな"Needle Time"だったのだが...。うーん、やはりこなれていない感が。全体的にモッサリしていて、楽器の音がどうも散漫で、残念としか言いようがない。続いてこなれまくりの"Peace, Love And Understanding?"で会場中が盛り上がり、メンバーが一旦舞台の袖に引っ込む。「さて次のアンコールは?」と期待して拍手を続けていたら、残酷にも客電が...。ウソ? コステロのライブでたった4曲のアンコールが1回だけ? 会場からは「えー!?」と怒りに近い声が上がっている。コステロのライブを知らない人が聞いたら「アンコールで4曲ならラッキーじゃない?」と思うかもしれないけど、違うんだよお。コステロのアンコールはもっともっとぶっ飛んでいて、第二部と呼びたくなるくらい大変なことになるはずなんだよお。

 終演後、フジロック組で飲み会。ステージに立つピートとデイヴィーに久しぶりに会えた。コステロは何度も何度も客席に笑顔を向けていた。決して悪くはなかった。しかし、曲のバランスや音のバランス、どこか大人しいメンバーの演奏などなど、細かい部分がひっかかって酒が美味しく感じられない。このままだと悪酔しそうなので早めに帰宅。結局自宅で飲み直しつつ、大阪のコステロファンKIOさんに今日の報告メールを打つ。つい「消化不良。短かったよ」と、愚痴めいたメールを送ったら「初日だもん。まだまだこれから!」とのお返事が。ポジティブな意見をもらい、愚痴を言うには早すぎたかもしれない、と少し反省。「明日は美味い酒飲ませてくれよ!」と、心の中で叫んでサッサと寝ることにする。コステロのライブに通えば通うほど、ゼイタクな要求をしたくなるのはなぜだろう。
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12/09(thu) Tokyo, Kosei Nenkin Hall
 急遽ひとりで初めての入り待ち。サインをねだったり写真をいっしょに撮ったりもしたいけど、最大の目的はピートとデイヴィーとスティーヴに会ってプレゼントを渡すこと。コステロも好きだが、今回ここまで追いかけたい気持ちになったのはこの3人によるところが大きかったため、あえてコステロと平等なプレゼントを用意したのだった。たいしたものではないけれど。

 というわけで、午後、たまたま仕事で新宿三丁目にいた私の足は厚生年金会館に向いた。昨日も今日もロクに昼休みを取っていなかったから、その時間を(勝手に)入り待ちに回したのさ。会場の裏口に行くとファンらしき男性がすでにふたり。思い切って声をかけると、コステロたちが来るのを待っていると言う。コステロのプライベート話やケイトさんの話、以前の来日公演の話などで盛り上がる。あっという間に数十分経ってしまい、いいかげん仕事場に帰らないとマズイ状況に。結局メンバーには会えなかったけれど、これ以上は無理だから仕方ない。皆さんに「頑張ってください!また夕方会場で!」と挨拶をしてその場を去る。元々「会えたらラッキー」程度の気持ちで臨んだものの、やはり未練は残るもの。靖国通りを走るバンをいちいち確認しつつ仕事場へ向かう。

 18:30。仕事を片付けて、再度靖国通りを厚生年金会館へ向かう。会場近くの横断歩道で信号待ちをしていると、その後ろに英語で会話する二人組の男が。見るとなんと、そのひとりはコステロの盟友スティーヴ・ナイーヴ。なぜだスティーヴ! なぜファンが集結するこんな場所を平然と歩いているのだ! ふたりは何やら難しい話をしているようだったので「キャー、握手して!」なんて言える雰囲気ではない。それに私が騒いで周囲が混乱したら迷惑になるので、ここは遣り過ごそうと思った。しかし、信号が青に変わり、私が横断歩道を渡るとスティーヴも渡る。私が道を曲がればスティーヴも曲がる。目指す場所は同じだから仕方ないのだが「私の後ろ歩くな! 緊張するから! どうしていいか分かんないから!」と、怒りにも似た感情すら芽生えたよ。

 スティーヴと話したいというより、その空気に耐え切れなくなった。まずスティーヴといっしょにいたスタッフに話し中に割り込んで申し訳ないと謝り、そのあと小声でスティーヴに「スティーヴですよね?」(←かなりしらじらしい)と聞く。すると驚いた表情で「はい」とのお返事。「ファンなんです。プレゼント渡したかったんですよ」と伝え、今日の入り待ちで渡せなかったスティーヴ用プレゼントを渡したら、スティーヴ、声を上げて笑い出した。そうだよな、歩道でいきなりプレゼントとか言われた日には、そりゃあ笑うしかないよな。そのあともスティーヴは笑みを絶やさなかった。こんなにず〜〜〜っと笑っている姿、初めて見たよ! スティーヴから「(ソロアルバムの)Windows買った?」と聞かれ、内心「おいおい、開演間近だってのに会話はずませちゃってどーするんだよ!」と思ったものの、こちらも笑顔を作りながら「もちろん買いましたよ。ソロライブも楽しみにしてます」と聞かれてもいないことまで一方的に、かつ手短に伝える。そのあと握手をしてもらい、お互い「またあとで」と挨拶をして、会場の正面玄関前でお別れ。私は会場に入ったものの、名残り惜しくて外を見るとスティーヴがまだこっちを向いていた。路上では混乱を恐れて「騒がず、あせらず、和やかに」を心がけていたが、一気に気が緩みガラス越しに思いっきり両手を振りまくると、スティーヴは歩道から手を振って、また笑い出した。ヤバイ女につかまったと思っただろうなあ。私の英語はかなりメチャメチャだったし、思い出すだけで恥ずかしい。でも別れ際に「名前は?」って聞かれたから、そう悪い印象は与えていないはずだ。と、無理矢理自己を正当化する。

 座席に向かうとすでにtamaさんが来ていたので、スティーヴに偶然会えた感動を伝える。そしてミッション(*)遂行のチャンスを逃したことをふたりで悔やむ。ああ、例のブツ、今日私が持っていさえすれば...。ほどなくしてたつさんもやって来る。スティーヴに会って名前を聞かれたことを話すと、「じゃあソロライブでhitomi用スペシャルシートが用意されるかもね!」と嬉しそうに言う。たつさん、あなたはなんて面白い人なんだ。しかしそんな面白ネタを聞いたとたん、自分の名前がブラックリストのような何かに載るんじゃないかと急に心配になる。

 昨日は久しぶりの生コステロのため、緊張しすぎて腹を壊していた私だが今日は大丈夫。すでに1回見たこともあり、緊張はだいぶほぐれていた。客電が落ちると、昨日と同じくコステロたちは走ってステージに登場。今日もデイヴィーはおしゃれだ。"Blue Chair"から始まり"No Dancing"、"Beyond Belief"、"45"と、昨日とはまったく被らない曲が続々と放たれる。あー! もう! これだからコステロのライブは何度通っても絶対に飽きないんだよ! そしてまたもや昨日とは被らない曲、"No Action"。待ってましたスティーヴの変態キーボード! 昨日より確実にスティーヴが面白いことになっている! 「これでスティーヴがイマイチだったら、開演前の己の愚行を猛省せねば」と思っていただけに、冴えに冴えていたスティーヴのプレイを聴けて心から嬉しかった。そういえばこの曲を生で聴くのはこれが初めてかもしれない。もしかしたら「私も久しぶりに生で聴いたよ」という人もたくさんいたのかも。客席の反応がとりわけ良かったように思える。

 さらに昨日とは違う選曲でショウは続く。新譜からの"Button My Lip"です。昨夜の"Needle Time"は満足できるとは言い難い内容だっただけに、新譜の曲だと分かると少し身構えてしまった。が、そんなことを心配した私がバカでした。現時点でこの曲の頂点と見た、と言っても過言ではないレベルのパフォーマンスに身震いしたよ。CDとは確実に違ったアレンジで、コステロは新鮮なヴォーカルアレンジなのに歌いこなしまくっているし、ピートのドラムとデイヴィーのベースはガッチリしているし、スティーヴは遊びの要素を盛り込んでくる余裕を見せるし、と、アルバムで聴くよりもずっとずっと面白くなっている。そうそう、コステロはこうでなくっちゃ。

 そして今日のハイライトは、誰が何と言おうと私は"Episode of Bronde"だ。もう生で聴くことはないと思っていただけに、倒れそうになりましたよ。素晴らしかった! 『When I Was Cruel』リリース直後でさえ最高だったのに、もっともっと最高! スティーヴのキレっぷりも最高! もしこの曲でライブが終わっても悔いはない、と言い切りたいくらい満たされた。

コステロのサイン  終演後。今日のフジロック組には小さな企みがあって、4人揃って楽屋口へ。「4人連続でお揃いのTシャツにサインちょーだい、って言ったらウケるかも」って、ただそれだけなのですが。コステロが笑うなら冬でもTシャツになる女たち4人、無事サインをいただくことができました。コステロがウケていたかどうかは微妙だが、とりあえず驚いていた様子ではあった。私は腹の辺りにサインをおねだり。こそばゆさを必死にこらえていたものの、辛抱たまらず「ぷぷっ」と笑ってしまった私。するとコステロもつられてクスクスと笑い出す。いや「俺、なにやってるんだろう」と思って笑ったのかもしれないけど。丁寧なサインのあと、なんと自画像のイラストまで描いてくれました。あとでみんなに聞いたら、どうやらイラスト入りは珍しいようです。いや、レア度なんてどうでもいい。可愛い人から可愛い自画像を描いてもらえた。もうそれだけで天にも上る気分です。

 駅に向かう途中、入り待ちの際に会ったファンの方とバッタリ再会。入り待ちは諦めたけどスティーヴと遭遇できたと報告していると、同じく開演前にスティーヴを見たという若者から「スティーヴと話していた方ですよね?」と声を掛けられる。うひゃー。ヤバイところを見られたもんだ。は、恥ずかしいよ。ちなみにその若者Nくんは、スティーヴがベローチェ(*)から出てきたところを会場前まで追いかけたそうだ。ああ、スティーヴがベローチェで何を買ったか知りたいよ...。

 そのあとフジロック組が51さんを巻き込んで軽く打ち上げ。全員お揃いのモンキーTシャツを着ている。「チームコステロだよ」「この居酒屋、制服じゃないから私たちのほうが店員みたい」「コステロ居酒屋?」「てゆーか信者の集い?」と、みんなで顔を見合わせて苦笑い。そのあと、フジロック組結成の経緯や各々のファンの歴史を語り合う。爆裂ガールズ・トークに51さんがひいていたんじゃないかと、ちょっと心配だ。
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12/10(fri) Osaka, Grand Cube
 一夜明けてもまだ昨日の興奮が続いている。思い出すだけでもドキドキして体が熱くなるぜ。欲を言えば今日の大阪も行きたかったが、ここはじっと我慢の子。私がコステロのファンになって初めて仲良くなった女性、KIOさんからの大阪レポートメールを楽しみにしよう。大阪のセットリストや感想を聞く限りだと、東京2日分の持ち駒を一夜限りの大阪用に再構築した印象かな。と冷静に分析しつつも、東京ではまだやっていない"The Monkey"ですごく盛り上がったとか、大阪では久しぶりのバンド形式ゆえ客がノリノリ、なんて話を聞くと、つい歯ぎしりしてしまう私なのだった。たった一日会えないだけで、なぜこんな辛い思いをしなくちゃいけないの? 答えが見つからないまま、とりあえず昨日コステロにサインをしてもらったTシャツをそっと着てみる。バ、バカだ。
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12/11(sat) Tokyo, Enban
高円寺@円盤  昨日の胸がドキドキと体の熱さはライブの興奮が原因ではなかったらしい。熱を測ったら38.2度もあるではないですか。がーん。普段なら市販の解熱剤でごまかすところだが、今回ばかりはそうはいかない。近所の病院まで走って診てもらうことにする。解熱の注射を打ってくれと懇願したが「薬飲んで2、3日ゆっくりしてれば治りますから」と説き伏せられる。いや、ゆっくりできないからお願いしているんですけどね。薬局で大人しく薬をもらい、明日福岡へ発つ前にどうしても片付けておきたい仕事があったので仕事場へ。tamaさんとたつさんはコステロが出演している『五線譜のラブレター』を観に行っているらしい。私も行きたかった。でも、とてもじゃないけど無理だったよ。

 仕事が一段落し、17:00を回った頃高円寺に到着。開場は19:00だが、以前ピーター・バラカンさんがゲスト出演したイベントに行ったらものすごーーーく混んでいたことがあったので、フジロック組は早めに待ち合わせ。先に会場に偵察に行ったtamaさんから「まだ誰も並んでいないよ」との報告を受け、とりあえず居酒屋に入る。が、私は今日は酒飲めません。風邪薬とバッティングしたら気持ち悪くなる確率が上がるのでガマン。tamaさんとたつさんから『五線譜のラブレター』の詳細(と言っても、コステロ出演シーンのみのレポート)を聞き、興味が湧く。たつさんから「hitomiさんが見たら絶対にコステロカワイイって言うと思う」と強力にプッシュされる。酒が入っていないせいか上手く切り返せなくてゴメンナサイ。「白いコステロ、ビバンダムくんみたいでカワイイかも」とだけ答える。ほどなくしてayakoさんもやってきて、フジロック組勢ぞろい。

 会場の円盤の入り口で、9日の終演後に会った若者NくんとCabさんに会う。しばしコステロトークに花を咲かせているうちに開場。うわー、生バラカンさんに会えるなんて何年ぶりだろう。全然変わっていない。テレビといっしょだ。

 第一部はバラカンさんが選んだコステロのプロモーションビデオ鑑賞会。ああ、大きなスクリーンで若いコステロを見るなんて恐いよ。ある意味拷問。私が初めて生で見たコステロはすでにまん丸だった。そのまん丸なコステロを生で見れば見るほど、あの小枝のように細い頃を見るのはかなりの勇気が必要なのです。"45"や"Monkey to Man"は穏やかな気持ちで鑑賞できたけど、若い頃のPVはもーダメ。"Pump It Up"なんて見ていられない。コステロだけならまだしも、スティーヴはガキだしピートはハンサムすぎるし、そこらじゅうにトラップが。私は生ブルース・トーマス未体験だからそう思うのかもしれないが、唯一落ち着いて見られるのは断然ブルースなのです。低めに構えたベース、脚のポジション、ネックの動かし方、左手がちゃんと動くアテフリ。なにもかもが(相対的に?)美しい。ギターを持ったコステロやスティーヴのアテフリは、ああ! 不安すぎて見ていられない! ということで、なるべくブルースを見るよう心がけていたせいかコステロの印象があまり残らなかった。なにしに行ったんだ私は。

 トークイベントの醍醐味は、公共の電波にのらないネタがいろいろ聞けること。公共の電波どころか、ネット上に書けない話題もたくさんあって面白かった。そんなトークの中で一番気になったのは、最近コステロがお気に入りの映画。バラカンさんは東京公演でコステロの楽屋を訪れたそうで、海外でリリースされたばかりのDVD『Grateful Dead Movie』や、まもなく渋谷でも公開される『フェスティバル・エクスプレス』が大のお気に入りらしい。フェスティバル・エクスプレスは、私も前売券を買って楽しみにしている映画。コステロが好きだと知り、ますます観たくなってきた(「はいはい、デッドとザ・バンドの双璧だからね」とも思ったが)。この映画について「ジャニスとザ・バンドとバディ・ガイと。あとあのバンド、グラム・パーソンズがいたグループが出ているんだけど。なんだっけ?」とバラカンさん。コステロ関連の質問にはまともに答えられないのに、これなら分かる私は「フライング・ブリトー・ブラザーズですよね ?」と言ってみる。するとバラカンさん「そうそう、それそれ」とニッコリ。少しだけど役に立てたみたいで嬉しかった。

 第二部は、マニアの間で超レア盤とされている「BUY20DJ」の視聴会。BUY20DJというのは、むかしのコステロのシングル盤『Watching The Detectives』のDJコピー盤で、一般に流通した盤(BUY20)とは別テイクのカップリング曲(ライブ音源)が入っている、ということらしい。あるオークションで「BUY20DJ」を落札したコレクターの方は、レコード針を落とすのをこの日のためにガマンしてくれていたそうだ。シールドだろうがなんだろうが、聴きたいものは即バリバリ開封しちゃう私からしてみれば、超サービス精神満点の人格者さんだ。このイベントに参加するまでその盤の存在すら知らなかった私は、スティッフのプロモ盤を見ることすらこれが初めて。片面がツルツルだったり(溝がないヤツってことです)、ラベルが色違いだったり、というわけではないようで、「BUY20DJ」はラベルに「SAMPLE」と判が押されただけのものだった。そして緊張の視聴タイム! 「...せ、正規盤と同じだ!」とは私の口からはとても言い出せず、ほかのファンの方が口火を切ってくれるのをじっと待つ。結果は「バンザ〜イ、ナシよ」ではあったけど、歴史的瞬間に立ち会えたことは光栄に思えた。なんといっても、世界のコステロマニアが血眼になって探していた貴重盤の視聴会ですから。落札して聴かせてくださったファンの方、貴重な体験をさせていただきありがとうございました! もし私がどこかで見つけたら報告します!(←無理無理)

 楽しい時間はあっという間に過ぎる。体調が悪い上に、明日の福岡行きの準備をまったくしていなかったのでまっすぐ帰宅。
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12/12(sun) Fukuoka, Zepp
 福岡行きのため朝6:00起床。今日の遠征メンバーは、ayakoさん、tamaさん、私の3人。今日はたつさんがいなくて寂しいな。「飛行機使っちゃうと、さらに道を踏み外した感があるよね〜」とayakoさん。ううう、そ、それを言わないで...。

 博多に着いてまっすぐホテルへ向かい、ミッション遂行のため早めに会場へ移動。会場周辺はショッピングモールになっていて、レストランやCDショップ、大きめのゲームセンターなどがある。「コステロたちが立ち寄りそうな店はどこだろう?」「HMVがあるからそこじゃない?」「ゲーセンでピートが『太鼓の達人』やってたりして」「高得点たたき出すピートを見たい!」「じゃあ私はコステロが『ギターフリークス』で遊ぶ姿を見たい!」。遠征によって気持ちがたかぶっているのか、次から次へとバカネタが炸裂する。

福岡ドーム  ショッピングモールをぐるぐる徘徊して、ようやく楽屋口らしきものを捜しあてる。結局何時間くらい待ったのだろう。寒空の下、飲まず食わずでコステロ一行を待ち続けた。時々「私、何やっているんだろう」という気持ちになりつつも、待つ。ひたすら待つ。途中雨が降ってきて、私たち3人組は2本傘を持っていた。が、同じく入り待ちをしているカップルは持っていなかったようで、私の傘にいっしょに入らないかと誘った。二人は福岡のコステロファンで、福岡にコステロが来ることをとても喜んでいた。去年は東京と大阪の公演しかなかったので、大阪までライブを観に行ったらしい。私も大阪へ行ったことを伝えると、思い出話に花が咲く。コステロ話で盛り上がっていると、1台の怪しいバンが到着。降りて来たのはピートとデイヴィー。日本人スタッフに囲まれたふたりは、背が顔一個分飛び出ている。目立つ。みんなでふたりの名前を必死に呼んだが、開演時間がせまっていたせいか足早に楽屋口へ消えていった。続いて1台のタクシーがやってきた。降りてきたのはなんとスティーヴ。な、なぜタクシーで? これまた必死にみんなで名前を呼んだのだが、こちらに目をくれることなく会場に入っていってしまった。

 今日の入り待ちの最大の目的はミッションの遂行だったが、この時点で失敗確定。雨も降っているし、お腹も空いたし、もう帰りたくなってしまった私。ayakoさんとtamaさんになだめられていると、雨が止み、ゆっくりと雨雲の間から太陽が顔を出した。コステロ晴れ男説(*)を信じて疑わない私は「コステロ、もう近くまで来ているよ!絶対!」と、俄然元気になる。初対面のカップルには「なんだ?この女?」と思われたかもしれない。が、そのあとすぐにコステロが乗ったバンが到着したのだ!

スターの輝き  少し離れた場所でコステロを待っていたファンが駆け寄り、私たちもエルヴィス、エルヴィスと名前を連呼。私はすでに東京でサインをいただいていたので、今日はオネダリは遠慮して福岡のファンの背中を押す。開演時間までそれほど時間はないというのに、コステロはゆっくりと丁寧に、とびっきりの笑顔でファンの要望に応じていた。大興奮でコステロへの愛を表現していた男性のファンに、コステロは優しくハグをし、サインをするときに「キミの名前は?」と聞いていた。なんかもう、その光景を見ただけで感動してしまった。コステロがまた福岡に来てくれて、本当に良かった。今日の公演しか見られない人にとって、最高の思い出ができて本当に良かった。

 入り待ちの感動を噛み締めるのもつかの間、数十分後には開場だ。あわててコーヒーを一杯飲んで、Zeppの入り口へ向かう。整理番号順に並んで本番をいまかいまかと楽しみにしていると、スタッフからビックリするようなアナウンスが。「本日、1階はスタンディングの予定でしたが椅子席になりました」。もう大ショック。今回唯一のスタンディング公演で、今日を一番楽しみにしていたのに。しかし決まってしまったものは仕方がない。

 さて福岡公演。東京2公演ですでに満足したつもりだったが、この日はとんでもない展開になった。あの場にいた人はラッキーだ。都合で行けなかったファンには申し訳ないくらい素晴らしかった。東京公演に比べて曲数が多かったことはもちろん、それ以上に会場のノリが格段に違っていた。会場前でアナウンスがあった通り、1階には座席が用意されていたが、多くのファンが狭い通路にすし詰めになって立ち、興奮していた。あれはパフォーマーとそれを見る客というよりも、パフォーマー対オーディエンスのバトルのようだった。コステロがノッてくると、客はそれに負けじとさらにノッてくる。それに負けまいとコステロがさらに力を出すと、客も負けずに...と、終演までずっとその繰り返し。客の熱さに比例して、ライブがどんどんヒートアップする様は、ごく自然なことにも思えるし、奇跡のようにも感じられる。

 開演前から異常な熱気を放っていた会場は、コステロ登場と共にさらにヒートアップ。観客の悲鳴にも近い声援を察したのか、コステロは中央に立つと目を大きく開けて驚いた表情をしていた。"Blue Chair"、"Tear Off Your Own Head"、"Beyond Belief"と、すでに東京公演で聴いた曲でも、今日は状況がちょっと違う。手を伸ばせばメンバーに届きそうな場所に、すぐそこにメンバーがいるんだもん。いままでデイヴィー側で見ることが多かった私は、コステロの豊満な腹で隠れるスティーヴやドラムセットの影になるピートの表情をこんなにじっくりと見たのは初めてだった。ピートはいつもコステロのギターネックを見ていると思っていたけど、鍵盤をにらみっ放しのスティーヴにも注意を払いまくっている。ピート格好いい。男らしい。この人でなきゃダメだ、と思った。ちなみにスティーヴとピートはミネラルウォーターではなく、コカコーラを飲んでいた。コーラも良い。格好いい。(←熱気で頭がイカレた)

 東京で最高の完成形を見たと思っていた"Button My Lip"は、かなり違う印象になっていた。スッキリと美しくまとまっていた東京公演に対し、福岡ではコステロのギターが大胆になり、スティーヴのキーボードとテルミンで遊びまくっている。途中に入るバーンスタインの"アメリカ"が、もはや原型から大きく外れてきているのが面白い。

 東京公演で聴いた曲でも新たな発見があると言うのに、コステロ兄さんはさらにサービス満点なのだった。「お前らまだ聴いてないだろ」と言いたげな笑みを浮かべて、"Green Shirts"(この曲をライブで聴くの、すっごく久しぶり!)、CDでも聴いたことがなかった"In Another Room"(あとで知ったのだが、新譜からもれた新曲だったらしい)を披露。何度も脚を運ぶファンのことを考えてくれる人だからこそ、ファンも行ける限り追いかけちゃうのだ。

 もうじゅうぶんすぎるほど温まっていたというのに、"High Fidelity"でこぶしを振り上げ、"Uncomplicated"ではコステロのギターソロに感動しつつ跳ねまくり、もはや己の体力との戦いになってきた。楽しんでいるのは私たちだけではないようで、回転椅子に座ったスティーヴは大笑いしながらグルグルと回っていた。"Monkey To Man"では、コステロが客席に向かって「Monkey!Monkey!」と派手に叫んで煽りを入れてくる。調子にのって私とayakoさんは力の限りモンキーダンスで応戦。私たちの奇行はデイヴィーに指をさされて笑われた(ような気がする)。

 "Sulky Girl"が終わると、一旦メンバーは袖に引っ込む。何曲やったのかは覚えていなかったが、充実感と汗の量がハンパじゃない。幸せいっぱいのため息をつき、「もう大満足だよ」と思うのも束の間、ファンの熱っぽい声援と拍手に応じて当然のようにアンコールが始まるのだった。ああ、コステロは私に死ねというのか!

 アンコール1曲目は"There's A Story In Your Voice"。ここで誰もが予想しなかった大事件が起こってしまう。コステロはこの曲の最後で1から5までカウントするのだが、東京公演では「ウノ、ドス、トレス...」とスペイン語で数えていた。が、福岡では違ったのだ。東京から福岡に向かう飛行機の中、ayakoさんとtamaさんと私はこのカウントについて「なんでスペイン語なんだよ!」「日本語で言えよ!」「気の利かねぇ男だな!」と、冗談まじりに話していたのだ。私たちの怒り(?)はそこで収まらず、ayakoさんがコステロ宛に書いていた手紙に「1=ichi、2=ni、3=san...」と、日本語での数の数え方を追加してもらったのだ。その手紙が入り待ちでコステロの手に渡り、読まれていたに違いない。だってコステロ、「イチ、ニー、サン、シー、ゴー!」と日本語で数を数えたんだもん! ホテルでayakoさんが手紙を書いているとき「曲をリクエストするファンはいても、こんなこと頼むファンなんていないよ〜」「コステロ、わざとこの曲を外したりして」「あり得る!」と爆笑していたのがウソのようだ。日本語で数を数える姿を目の当たりにして、私たち三人は奇声を上げてその場に座り込んだのだった。ほかのお客さんから見たら「あの人たちどうしたんだろう?」と不思議に思ったかもしれない。でもコステロは、もしかしたらayakoさんを見て「あ、手紙くれたのはあのコだ」と思っていたかもしれない。

 コステロから二度目のメンバー紹介があり、本当に本当の終わりが近づいていることを感じる。しかし気を抜いたとたん、まだ聴いていなかった"The Monkey"が! この曲は大阪でものすごく盛り上がったと聞いていた。「よっしゃ、大阪に負けてたまるか!」とばかりに「Monkey!」の掛け合いに参加しまくる。福岡のお客さんは照れる様子などまったくなく、力いっぱい叫んでいて本当に楽しかった。最後の最後に"Alison"をしっとりと歌い上げるコステロ、後半に"Suspicious Minds"を織り込んだ。バンドのメンバーは「おいおい、どこまで歌う気だ?」と、ちょっと不安そうにコステロの声のすぐあとを追うように小さく演奏していた。バンドの演奏が止み観客から優しい拍手が鳴り始めても、さらに続けて歌うコステロ。観客からは歓声があがる。そんなコステロの姿を見て、おこがましいかもしれないけれど「コステロも名残り惜しいのかな?」なんて思ってしまった。 ピートのドラムヘッド

 ライブ終了後は完全に放心状態。最前列の端の椅子に腰掛け、たったいま目の前で起きた事件をひとりで反芻していると、スタッフが何かを差し出しながら近寄って来た。「何かくれるのかな?」と思って駆け寄ると、なんとさっきまでピートが使っていたドラムヘッドを「ハイどーぞ」と差し出してくれた! え? こ、これもらっちゃっていいの!? 嬉しすぎるーーー! 凹みや汚れがあまりにも生々しくて、さっきまでそこにいたピートの勇姿が頭をよぎる。思わず頬擦りしてしまったよ! 幸せ者は私だけではなく、tamaさんはピートのドラムスティックをもらっていた。折れたドラムスティックもまた生々しく、私のドラムヘッドを叩いてもらってふたりでウットリ。

 終演後はまっすぐ今日の打ち上げへ。現地で合流した51さん夫妻にナビゲートしてもらい、関東からコステロを追いかけてきたメンツで中洲の屋台村に向かった。ライブの感想はもちろん、ラヴィン・スプーンフルやダグ・サーム、来月来日するブライアン・ウィルソンも話題に上がり「コステロがこの場にいたらいいのにね!」「絶対楽しんでもらえるよね!」「コステロとヲタ話したいよ!」などとおおいに酔っ払う。明日は朝一番の飛行機で東京に帰るというのに。
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12/14(tue) Tokyo, Kosei Nenkin Hall
Elvis Costello and the Imposters  5:00起床。昨夜の興奮さめやらぬまま飛行機に乗り、東京の職場へ直行。今夜の東京最終公演に備えてひたすら仕事。

 18:30を少し回った頃、新宿三丁目駅に到着。携帯電話をチェックすると、今日のために大阪から駆けつけたKIOさんからメールが届いている。そのメールによると「ベローチェでスティーヴ発見!」とのこと。なぜだスティーヴ! なぜまたベローチェなんだ! もしかしたら会えるかもしれないと思い、ホームから猛ダッシュするもあえなく敗退。体調が悪かろうが、空腹だろうが、人間ってここまで踏ん張れるものなのね。スティーヴのおかげで余裕をもって会場入りでき、友人たちと話す時間がとれた。今日はtamaさんがスティーヴに会うことができたそうだ。tamaさんは興奮気味に喜んでいる。というより爆笑していた。大笑いしながら「握手したよ〜!」って。ま、そりゃあ毎日のように会場の前を徘徊されたら笑うしかないよね!

 さて今日で東京の公演は最後だ。今日は前述の大阪から来たKIOさんだけでなく、仕事の都合で今日しか来られないレコ友Kさんも来る。2002年の渋谷公演で知り合った冬松さんとリュウイチさんは、栃木から駆けつけている。サービス精神旺盛なコステロのこと、今回初めて脚を運ぶファンはもちろん、東京公演3連覇というツワモノでも降参しちゃうようなステージを展開するに違いない。コステロがステージに登場すると、ファンはおとといの福岡公演に負けないくらいの熱気で迎える。

 しょっぱなから今回初の"I Hope You're Happy Now"! さらに2曲目以降も"Possession"、"Waiting For The End Of The World"、"Lipstick Vogue"と、今回の来日で初出の曲でガンガンに攻めてくる。もうこれだけでも、心の底から「今日来ていなかったらマジで後悔したぜ!」と思えた。特にLipstick Vogue! 2002年東京国際フォーラム以来の生演奏! ピートの挑発するようなドラミングと、デイヴィーが放つ力強い掛け声。後方の威圧感たっぷりのピートとデイヴィーと、東京2公演に比べてずっと熱いオーディエンスに挟まれて、コステロのテンションも最高潮だったのではないだろうか。いや、私が興奮しすぎだっただけかもしれないが。

 しかしそのあと、明らかにコステロの調子が万全でないと感じたのが"In Anothr Room"。精一杯声を振り絞っているのは分かるが、どうも声が出ていない。一旦気になりだすと、そのあともアラばかりに気づいてしまい内心ヒヤヒヤ。"Temptation"では声だけでなくギターもぎこちなくなり、それにつられたのかスティーヴのキーボードとデイヴィーのベースもかなり控え目になってしまう。そしてついに猿が木から落ちてしまった。ファンにはお馴染みの"Chelsea"のイントロをピートが繰り出すと、興奮する客とは裏腹にコステロが冷ややかな表情でピートに向かって静止。ピートが間違えたのか、それともコステロの気が変わったのかは分からないが、どうやらChelseaはやる予定ではなかったらしい。それにしても、あのピートのカワイイ表情といったら。あれはあれで、かなりいい思い出だ。コステロの指示でChelseaではなく"Dust"が始まったものの、やはり声もギターもイマイチだ。ファンとしてこんなことを思うのは非常に心苦しいのだが、今日のこの曲については『When I Was Cruel』が出たばかりの2002年のパフォーマンスのほうがずっと良かった。うわーん、こんなこと書いていてちょっと泣きそうだよ。

 しかしそこでグダグダにならないのがコステロ。押してもだめなら引くことだってできちゃう人なんだ。イマイチに思えたテクニックはさておき、レアな曲をポンポンと投げつけては客を沸かせてしまう。やや押さえた調子であったが"All This Useless Beauty"を歌い上げ、会場を温かい空気に持っていく。さらに"Just About Glad"、"Complicated Shadows"、"So Like Candy"と、またもや今回の来日公演で初となる曲を手榴弾のごとく投げつけてくる。戦い慣れている上に持ち駒が多い人の奇襲攻撃だ。こんな器用なことができる人はそういないだろう。

 新譜の中で私が最も好きな曲、"Needle Time"が復活! なのだが、やはりこなれていない感は否めず。東京初日よりはややまとまった雰囲気だったが、スティーヴのテルミンがときどき炸裂する程度でバンドの音に遊びが感じられない。同じ新曲である"Button My Lip"の成熟度を知っているだけに、つい不満に思ってしまうんだよなあ。このあとアメリカやイギリスを回って各自よく練習しておくように!(←ファンゆえの苦言です。お許しください)

 アンコールは会場との一体感を意識したのか、"Red Shoes"(この曲もまた今回初出か?)、"Peace, Love And Understanding?"で大合唱が巻き起こる。福岡での事件(詳細は福岡の日記参照)を目の当たりにしていた私は"There's A Story In Your Voice"の最後のカウントでコステロといっしょに「イチ!ニー!サン!シー!ゴー!」と大声で数え、最後は、ファンにはお馴染みのライティングで"I Want You"で締め。

 終演後、レコ友Kさんと、大阪の出待ちで玉砕したというKIOさんといっしょに楽屋口へ。出てきてくれたのは今日もコステロだけ。私はメンバーそれぞれにプレゼントを用意していたのに、いつまでたってもピートとデイヴィーに渡せない(スティーヴには靖国通りで渡し済)。KIOさんにそのことを話すと、彼女はメンバー全員に用意した複数のプレゼントを袋に詰めて用意したと言う。本当は直接手渡したかったけど、ピートとデイヴィーに用意した私のプレゼントも混ぜてもらうチャンスだ。が、ここで問題が。私のプレゼントの中身はCDで、初日にコステロに渡したものとまったく同じラッピングだった。カードとCDがメンバーごとに違うだけ。ということは、ピートやデイヴィーの手に渡る前にコステロが見つけたら大変だ。中身がCDだということがバレる! かすめ取られるに違いない! あわてて包みにデカデカと「ピート様」「デイヴィー様」と書く。みんなから「そんなに疑ったらコステロが可哀想だよ!」となじられましたが、私は疑われて当然だと思いますよ。だって、来日中ひとりでタワレコ行くような人だもの。

Monkey to Man  そんなわけで、列が進む最中ずっとコステロを容疑者扱いしていたのですが、本人を目の前にするとCD窃盗罪(冤罪?)すら許す気になってしまう私。持参した"Monkey to Man"の2曲入りのシングルにサインをお願いすると、コステロ、ジャケを見ながら「オーッ!モンキーッ!」と、こっちが萎縮しちゃうくらいハイテンション。日本で売っていないアイテムを押さえているヤツがいて、嬉しいのかしら。そんなコステロを見て思ったよ。「シングル1枚でこんなに喜んでくれるなら、私買い続けます!」と。サインをし終えたコステロ、とびっきりの笑顔で両手を軽くパッと広げてくれた。これはハグのポーズ? せっかくなのでコステロの100倍くらい両手を広げてハグさせていただく。丸いよ。まん丸だ。コステロに軽く背中をポンポンと叩いてもらって、とっても幸せ。コステロ、死ぬほどかわいい...。

 もはや恒例となったライブ後の打ち上げ。今日はフジロック組4人に加え、冬松さんとリュウイチさん、たつさんの同僚Hさん、勝手に私が固定メンバーと認識している51さんとともに居酒屋へ。Hさんは初めてコステロのライブに来たそうだが、思いっきり楽しめたとのこと。あの年齢でここまで熱い人なんてそういない、とHさんは感動していた。まるで自分が褒められたかのように嬉しくて、嬉しくて。頬がゆるみっ放しになっていまった。
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12/15(wed) Aichi, Nagoya Kinro Kaikan
 仕事を半休するので、定時よりも早めに出社。ギリギリまで仕事をし、なんとか指定席を取っていた新幹線に間に合う。

 昨夜のピートの不調っぷりを心配しつつも、明日は今回初の全休を取った嬉しさでウキウキ。調子にのって、新幹線で真っ昼間からビールを2本投入。ひとり酔っぱらいモードに突入していると、先に名古屋入りしていたtamaさんとayakoさんからメールがきた。ミッションを完了すべく入り待ちしたものの、またしても果たせなかったとのこと。しかも「会場の周りに何もない。ベローチェもない」らしい。思わず「鶴舞はスティーヴに対して失礼な街ですね。ベローチェくらい用意しとけよ!」と、無意味で攻撃的なメールをayakoさんに送ってしまう。ごめん、すきっ腹に酒を入れて酔っ払ってたの。

 17:40名古屋着。すっかり酔いも覚め、予約しておいたホテルにチェックインしてユンケル飲んで急いでライブ会場へ。会場でayakoさんとtamaさんから入り待ちの詳細を聞いたら、スティーヴはつれないし、コステロは元気がなかったとのことだ。入り待ちでのスティーヴのつれなさは今日に始まったことではないが、コステロの体調は心配だ。それに加えてこの客入りの悪さ。1階席でも空席が目立ち、愕然とする。頼むぜ愛知県民さんよ!

 と、いまさら来ていない人間に頼んだところでどーしよーもない。泣いても笑ってもこれが最終公演だ。「空席のぶんまで盛り上げるのがこの場にいる者の義務!」と使命感に燃える私。開演アナウンスと共にスックと立ち上がり、手の骨が折れんばかりの激しい拍手でコステロたちを迎える。最終日に立ち会うべく遠征して来た人、今回ようやく生コステロに会えた人、いたかどうかは分からないけど私と同じ気持ちだった人の熱い拍手と声援で会場がいっぱいになった。

 ステージの中央に立ったコステロ。今日はすぐには演奏に入らず「今夜は日本で最後の夜だ!」と気合たっぷりの挨拶をし、今回のツアーで定番となった1曲目の"Blue Chair"を始める。想像していた以上に元気なその姿に安心していると、2曲目の"Red Shoes"で早くも大合唱が巻き上がる。そのあとも"Radio, Radio"や"Beyond Belief"など、ファンに対して発火性の高い燃料を投下してくるコステロ。このときのRadioのテンポと言ったら! 速いのなんのって! 否が応でも熱くなっちゃうよ。

 何度もしつこく書いてきたけど、"Button My Lip"は、またさらに違うものになっていた。ピートの堅実なドラミングと低く大きく唸りつづけるデイヴィーのベースに乗っかって、コステロのギターがより主張している。スティーヴのキーボードからは、ついに"アメリカ"が消えてしまって、心の中で大爆笑したよ。毎回のように聴いたにもかかわらず、まったく飽きさせないコイツらは何者だ!?

 昨日のレア曲オンパレードにも度肝を抜かれたが、またしても今回の初出曲が。新譜からの"She's Pulling Out The Pin"だ。最終日だというのに、まだ新ネタ出してくるか!? さらに驚いたのは、この曲をayakoさんが事前にコステロにリクエストしていたこと。今日の入り待ちで渡した手紙に「この曲もやって欲しい」と書いていたそうだ。ayakoさん、「イチ、ニー、サン、シー、ゴー!」に続いて二冠達成! 彼女はある意味、今回のツアーの裏番長だ!

 コステロからのサプライズはまだまだ続く。シングルCDだけに収録された新曲"Love That Burns"! 所有している私でさえ何の曲かすぐに思い出せなかったこの曲、恐らく日本のファンの間ではほとんど馴染みがないはず。なぜなら、今回の来日の時点で日本の量販店ではこのシングルを扱っておらず、入手するには海外通販やオークションを利用しなければならなかったからだ。コステロはなぜ急に取り上げることにしたのだろう? もしかして、昨日の私のようにシングルにサインを求めたファンがほかにもいっぱいたとか? それがキッカケで披露する気持ちになってくれたのなら、こんな嬉しいことはない。オタク冥利に尽きるってものだ。

 ファンにはお馴染みとなった"You Really Got A Hold On Me"につながる"Deep Dark Truthful Mirror"も名古屋で初登場! このネタ、自分の中ではすでに飽きつつあったのだが(ゴメンナサイ)、お約束でも大合唱はやはり楽しかった。ほかにも"High Fidelity"や"I Can't Stand Up For Falling Down"など、客との掛け合いが楽しめる曲をビシビシぶつけてくるコステロ。つい「もしや、一番盛り上がりたいのはコステロなのか!?」と思ってしまった。アンコールでも"Peace, Love And Understanding?"で大合唱し、最後の最後、"Pump It Up"では観客がこぶしを振り上げて大盛り上がり。福岡ではひたすら強気に攻めることで、東京最終日はレア曲をたくさん盛り込むことでサービスをしていたとしたら、名古屋でのコステロは観客と通じ合うことでサービス精神を発揮したライブだったように思える。

 また、「具体的にどの曲でどうだった」というのはないけれど、全体的にコステロの声に絡むインポスターズの演奏のバランスが最高だったのは名古屋公演かな。ピートの調子が完全に戻り、デイヴィーのコーラスは回を重ねるごとに色気が増し(ベースは文句ナシで終始安定していたと思う)、スティーヴのキーボードはしっとり系とブチ切れ系に、より緩急がついていて最高に面白かった。曲数はそれほど多くはなかったが、今回のツアーのラストに相応しい胸が温かくなる良いライブだった。

 終演後、またもやファン同士の打ち上げだ。今日はayakoさんが使用済のバックステージパスを、2列目で見ていたたつさんは、なんとコステロが使ったギターピックをゲット! これでフジロック組全員がレアなお土産(tamaさんと私は福岡でもらい済)を手にできた。これは何度も何度も脚を運んでいたご褒美だ、とうことでいいよね。こんなにいい思いしてファンやめたらバチがあたるに違いない。やめる気なんてないけどさ。
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12/16(thu) Osaka, Shinsaibashi Club Quattro
Steve Nieve  スティーヴのソロ公演の初日に立ち会うぞ! コステロ&ジ・インポスターズの大阪公演は早々にあきらめたクセに、スティーヴのソロはどーしてもあきらめられなかった。ayakoさんと51さんは昨日のうちに東京に戻ってしまった。たつさんとtamaさんは今朝の新幹線で東京へ戻った。今日大阪へ行くSさんやTさんは別のホテルで別の新幹線。今日はひとり名古屋から大阪へ移動だ。昨夜、コステロたちはスティーヴを残して名古屋を発ったことを思い出し「ああ、コステロはスティーヴと別行動、私もみんなと別行動。私もスティーヴもひとりぼっちだ」と思ったら急に寂しくなってきた。名古屋のホテルのチェックアウトから大阪行きの新幹線まで時間があったので、名古屋名物モーニングを食すため喫茶店に入るが食欲はない。予定通りの新幹線に乗って、ぼんやりスティーヴの『It's Raining Somewhere』を聴いていたら米原で雨降ってくるしさ。コステロが日本を離れたとたん雨なんて、やはりコステロは晴れ男に違いない。

 新大阪駅に着くと雨は上がっていた。ホテルにチェックインし、大阪のコステロファン、KIOさんに電話をする。大阪の地理に疎い私のために、丁寧にナビゲートしてくれるKIOさんに大感謝。会場のある心斎橋で落ち合ってから、ひとりの寂しさもふっ飛んだ。開演まで時間があったので、心斎橋の町をウロウロ。すると会場のすぐ横にキーボードがいくつも配置されたショーウインドーを発見。なかなか大きな楽器店だ。「海外公演のとき、スティーヴって楽器屋うろついているよね...」「まさかここにもスティーヴが...?」と、ふたりで妄想を炸裂させ、おもむろに入店。上の階にピアノやキーボードがさらに置いてあるというので、直行。楽器を見るフリをしつつスティーヴを探す私たち。残念ながらスティーヴはいなかったが、KIOさんが面白い注意書きを発見した。陳列されたキーボードに「手を触れないで下さい」と張り紙がしてあったのだ。「英語で書かなきゃスティーヴ触っちゃうよ!」「絶対スティーヴなら触るね。店員さんに怒られる姿さえ想像できるよ、うん」と、真剣にスティーヴのことを心配する。こんなアホな行動につきあってくれるKIOさんが大好きだ。

 楽器店をひやかしたあと、とりあえずお茶を飲むことにする。コーヒーショップを探すまでもなく、その楽器店の横にはスターバックスが、向かいにはドトールがある。コーヒー屋がベローチェでないのは残念だが、とりあえず楽器店とスターバックスとドトールで囲まれた三角地帯の真ん中に立ち「スティーヴの磁場!」と叫んでみる私。ライブの前に興奮しすぎです。 

 「スターバックスよりドトールのほうがベローチェ寄りでは?」という理由でドトールに入り、開演までのんびりコーヒーを飲む。私が行かなかった大阪公演の話を聞いたり、KIOさんが行かなかった福岡、名古屋公演の話をしたり。ずーっとコステロのことを話していた。話は尽きなかったが、開場時間が迫ってきたので向かいのクアトロへ移動。始めて訪れた心斎橋クアトロは、渋谷のそれよりもずっと狭かった。会場にはテーブルと椅子が並べられ、全部で5、60席くらいだろうか。カウンターではフードとドリンクが売られている。

 落ち着いた雰囲気の中、ふたりでビールを飲みつつ開演を待つ。グランドピアノ、鍵盤ハモニカ、テルミン、クラリネット、Macのノートパソコン、プロジェクターが用意されている。ステージの様子を見ていると、ふと舞台の袖に見慣れた人が。ス、スティーヴがコッソリ会場を覗いている! 私が驚いてポカーンとしていると、KIOさんはそんなスティーヴを見て大爆笑。ほかのお客さんもスティーヴに気づいて驚いていた。開演直前にベローチェに行ったり、舞台袖から客席を覗いたり...。ステージでのせわしなさは見慣れていたが、これで分かったよ。スティーヴは、きっと一箇所にじっとしていられないタチなんだろうね。早い話が落ち着きがない人なんだ、と。

 お客さんの多くがすでにスティーヴの姿を確認してしまった中、なんの予告もなく突然ステージに現れるスティーヴ。もはや誰も驚くことはなく、自然な拍手で迎えられる。何が起こるかまったく読めないスティーヴのソロ。我が子の初舞台を見守る親のような気持ちでバカみたいに緊張していると、新譜の『Windows』から"Window #1"のSEだけ取り出して、グランドピアノの生演奏を重ねて音を紡いでいく。そう、私はこの人の生ピアノをじっくり聴きたかったのだ。クラシックもジャズも、私は鍵盤モノが一番好き。このままずっとスティーヴのピアノを聴いていたいよ。と思うのも束の間、スティーヴはクラリネットを手に取り、今度は"Window #3(Declan's Window)"のSEに乗せてクラリネットパートだけを吹き始めた。スティーヴの楽器は、ピアノ、テルミン、鍵盤ハモニカ、アコーディオンとあれこれ見てきたが、まさか本当にクラリネットも吹いちゃうとは。基本的に楽器というものがすごく好きな人なんだろうな。

 演奏中は、スティーヴが撮り貯めた世界の街の風景がプロジェクターに映し出される。被写体は都会から田舎までさまざまだが、人物がほとんど写っていないからだろうか。一貫してどこか寂しげで冷ややかな印象。そのぶん、観るものに画一的なイメージを持たせず、観ている者それぞれの感傷を掻き立てるような普遍性みたいなものを感じた。中にはコステロとのツアー中の写真や、パーティーのあと、恋人との旅行中の写真もあったのかもしれないが、どれをとっても静寂が漂っていた。

 さて音楽に話を戻して。新譜からの曲をSE+生演奏の形式で進めるのかと思いきや、なんとスティーヴはヴォーカル曲も披露。といっても、ピート・トーマスやブルース・トーマスも参加している前作『Mumu』はほとんど歌モノだったから、スティーヴが歌うことはごく自然に受け止めていたつもだった。が、まさかライブで聴ける日が来るとはね。Mumuからは"Stupid Thing To Do"や"Keyboard"を。しゃべるときの声はとても低いのに、歌声は高くて細いスティーヴ。歌モノではKeyboardが私にとってのハイライトだった。この繊細な声質と切ない歌詞、それとは対照的な力強いピアノのバランスにドキッとする。ほかにも未発表曲の"Life Preserver"やコステロの"Shipbuilding"をピアノとヴォーカルで披露した。

 後半はまたインストに戻って『It's Raining Somewhere』から"Before"の一節が飛び出す。この曲、元は15分以上あるのだが、さすがに全部は無理だったのだろうか。15分聴いても聴き足りないくらい好きな曲なだけに、全部聴けなかったのは残念だったけど。それでも一番好きなフレーズが使われていたのでヨシとしよう。そのあと、新譜からの"Window #9 (Muriel's Window)"で一旦幕。スティーヴは鳴り止まない拍手に応えて、さらにアンコールで1曲。コステロの"Alison"だ。いままでコステロのライブで聴いたことのないようなピアノアレンジを施していた。もしや自分用の隠し弾か、とちょっとだけスティーヴのことを疑う。

Steve Nieve『Windows』(1枚目)  昨日の名古屋公演とはまた違った、穏やかで静かな感動で胸がいっぱいだ。改めて客層を確認すると、「この人たち、コステロのファンでもあるのかな?」と不思議に感じる。コステロのライブで会った人たちもいたけど、ほぼ半数が女性客という点が気になった。昨日まで男性ファンに混じって腕振り上げて「れっしゅ〜!」なんて叫んでいたようには見えない、上品な雰囲気の人が多い。真相は分からないが、実はファン層は完全に被っていないのかもしれないな。

 終演後は、スティーヴのソロCD『Windows』を買った人のためにサイン会が催された。そんなこともあろうかと東京から持参してよかった。サイン会はかなりの盛況っぷりで、ほぼ全員のお客さんが並んでいたんじゃないかな。私とKIOさんも列に並びつつ、ちらちらとスティーヴの顔を見ると...。スティーヴ、メッチャメチャ笑っているよ。入り待ちや出待ちで「冷たい」「つれない」「見向きもしてくれない」と言われていた人と同一人物とは思えないくらいゴキゲンです。サインだけでなく、みんなと写真まで撮っている。でもそりゃそうだよね。自分の新譜を買った人たちがズラ〜っと列をなしていたら、嬉しくないわけがない。私の番になり、簡単にライブの感想を伝えると、サインに添える名前を聞いてきた。みんなと同じように名前を伝て無事サインをもらい、いっしょに写真を撮ってもらえた。スティーヴにお礼を言って出口に向かう途中、「See you tomorrow」と言ったところ、次のファンにサインをしていたスティーヴが顔をガバッと上げ「Tomorrow!?」と驚いていた。まさか両方参加するとは思っていなかったのかな。というよりむしろ、「ド平日に何やっているんだ!この女!」という感じか。

 スティーヴの笑顔で今朝の寂しさは完全に吹っ飛んでしまった私。さーて、今日も飲むぞー! KIOさんにナビゲートしていただき、心斎橋の居酒屋へGo。これまでの公演を振り返りつつ、アホネタを交えつつ、妄想トークを織り込みつつ、コステロ一座を語り倒す。KIOさんにはおごっていただいちゃいました。ごちそうさまでした!
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12/17(fri) Tokyo, Aoyama Cay
 5:00起床。帰京&仕事のため、朝6時にひとり新大阪駅へ。昨夜、スティーヴの元気な様子を見て安心したのか食欲が大復活だ。朝の6時から幕の内弁当を平らげ、風邪薬を飲んだあたりで急に眠気が。あっという間に東京着。ユンケル飲んでコインロッカーに荷物を放り込み、仕事場へ向かう。

 開演に間に合うように会場へ行くと、すでに前方の席は埋まっていた。tamaさんとたつさんも到着したばかりらしく、少し後ろの席に座る。ayakoさんもギリギリセーフで到着。会場自体がそう広くはないので、後ろの席でも問題なしだ。いや、あんまり近いと私が緊張するので後ろでよし。客席にはコステロのライブで見慣れた人たちがいっぱい。ほぼ昨日のライブでは見かけなかった顔だ。tamaさんは「インスト苦手だから少し心配」と言っていたが、すでにスティーヴの歌声を堪能してしまっていた私は、つい「今日は内容がガラッと変わってクラシックオンリーだったら面白いのに」と思ってしまった。スティーヴのクラシック、大歓迎。クラシックのCDを出してクラシックのコンサートをソロでやって欲しいくらいだ。

 フロアの明かりが落ち、客席から拍手が起こる。客のほとんどがステージに注目していると、スタッフが行き来していた客席の横の扉から突然スティーヴが現れた。近くの席のお客さんは相当驚いていたのではないだろうか? 最後の最後まで、素でファンを驚かせる男。それがスティーヴ・ナイーヴ。

 スティーヴが客席の合間を縫ってステージに向かうと、昨日と同じく"Window #1"から始まる。"Window #3(Declan's Window)"ではクラリネットを吹きつつ客席に降りてくるというサプライズもあったが、基本的に昨日と今日、同じ流れで進むのかなと思いきや。昨日は使っていなかったサンプリング音を使ったり、昨日はやらなかったコステロの曲"My Little Blue Window"と"Favorite Hour"を披露したり...。昨日も今日も来たファンへの気遣いかは分からないが、ネタを練って仕込んで昨日とは違うライブにしようとする姿勢に感動した。「プロなんだなあ」と、口にするのも恥ずかしいくらい失礼で当たり前のことをしみじみ感じた。

 ライブ三昧のコステロと活動している限り、スティーヴのソロライブに立ち会えることなんてまずないだろう。今日会場にいたほとんどの人にとって、きっとこのソロライブは初体験だっただろう。が、Sさんと私は昨日の大阪公演にも行っちゃってたのよね。終演後、ふたりで昨日との相違点を熱く語りあっちゃったよ。

サインくれ!  さて今日もありましたサイン会。今日もスティーヴはニコニコだ。ほかのソロアルバムを持参しようか迷ったが、私は今日も『Windows』にサインをお願いする。「お前は同じものを何枚買っているのだ!?」とツッコミが入りそうなので書いておきますが、まだ3枚ですから。聴く用と保存用に買った輸入盤の初回プレス2枚と、最近出た日本盤1枚だけです。さて私の順番が回ってきたので、「大阪クアトロなんて行っていません」「靖国通りなんかで話していません」「福岡でステージにかぶりついて見ていません」という顔をしてしれっとジャケを差し出すと、スティーヴはニコ〜っと笑いながら(いや「ニヤ〜っと」かも)「オー、ヒトミー」と言い出した。そしてサッサと「Hitomi」と書き始めた日には腰が抜けそうになった。な、な、名前覚えたの? つ、つづりも覚えたの? 三度も名前を尋ねたら逆上されて刺されるとでも思ったのかな。しないよそんなこと。嬉しいような、恐いような、複雑な気分だ。(※この写真はtamaさんのカメラで51さんに撮っていただきました。ありがとうございました)

Steve Nieve『Windows』(2枚目)  「これ2枚目の『Windows』だってバレたよな。こりゃ相当ヤバイ女だと思われているよ」と、軽く落ち込んでいたところ、褒めてもらったり感謝されたりしてすっかり有頂天。「今日"も"来てくれてありがとう」だってさ。スティーヴさんよぉ、お礼言わなきゃいけないのは私のほうだよぉ。「今日もライブやってくれてありがとう」「今日もサインしてくれてありがとう」ってこっちが言いたいくらいだよ(言えよ!)。昨日よりもメッセージが微妙に長くなっているあたりに、スティーヴのサービス精神を感じます。超いいヤツ! 調子にのって、tamaさんからもらった今日のチラシにもサインをお願いすると、さらにさらに長めのメッセージを書いてくれたよ。うわーん、スティーヴが優しいよ。ますますラブだよ。

 今日のサイン会で、ようやくミッション遂行のチャンス到来。これまで何度か書いてきた「ミッション」とは、フジロック組からスティーヴへプレゼントを渡すことだった。包みの中身は作務衣だ。しかも「Steve Nieve」の刺繍入り。10月末、フジロック組で来日ツアー作戦会議(実質たんなる飲み会)をしたとき、誰が言ったか忘れたが「スティーヴ、作務衣似合いそうだよね」「ステージで着て欲しいよね」という話になったのだ。それは酒の席での冗談には終わらず、たつさんが作務衣を発注し、ほかの3人が相乗り。私たちは毎日のようにスティーヴに会うチャンスをうかがっていたが、ずっと手渡せずにいた。長かった。長かったよ、ここまでの道のりは。「もうコステロに頼んじゃおうか? これスティーヴに渡してよ、って」 と、コステロに使いっ走りをさせる案もあったのだが。あれ? 提案したの、私? まあよい、実行しなくて良かった。そして何よりもフジロック組が4人揃って直接本人に手渡せて、スティーヴが喜んでくれて本当に良かった。しかし、そんなスティーヴにayakoさんがチクリと一言「私たち毎日待っていたのに、あなたは会ってくれなかった」と伝えると、スティーヴは驚きながらもすまなそうな顔をしていた。今回、日本各地を旅したのはコステロや私たちファンだけではない。作務衣も旅をしていたのだ。東京、福岡、名古屋と、いっしょに旅をした作務衣との別れは辛かった。アデュー、作務衣。スティーヴに気に入ってもらえることを祈っているよ。

 今日をもってすべて終了。ファンの皆さんと飲み屋に行き、今回のライブについて総括。すべてが終わって寂しいというより、清々しい気持ちでいっぱいだ。たくさん飲んでたくさん話して、最後まで充実した時間を楽しむことができた。
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おわりに
 東京公演初日からスティーヴの東京ソロ公演まで、たくさんのコステロファンの方々とお会いできたことに心から感謝します。今回初めて会った方々からメールをもらえたこと、「それじゃ、また明日ね!」「来週東京で!」と挨拶を交わせたこと、いっしょにライブで派手に盛り上がったことのすべてがどれだけ楽しかったことか。中にはコステロが日本を離れたあとも、ほかの話題で盛り上がることができる音楽の友になってくださった方々もいます。初めて行った1999年12月のライブで、自分の分だけチケットを買って2階の隅でじっと大人しく聴いていたのがウソのよう。

 実はこの旅の記録、1ヶ月ほど前に完成していました。来日公演から日が経ち鮮度が落ちた上に、読み返せば読み返すほど公開するのが恥ずかしく放っておいたのですが。それでも「楽しみにしています」と言ってくださった方がいたので、意を決してアップすることにしました。

 ネット上に置くにあたり、再読して誤字脱字を減らす努力はしました。が、一貫性のない文体や陳腐な表現はそのままにしてあります。美しい文章でまとめたいという気持ちもありましたが、私は文章を書くことのプロではありませんのでそこにこだわるのは止めました。また文字数制限がないという特性に甘えて、日ごとの文字量にバラつきがあります。それでも、もしこの感想文を読んで「そうそう、あのとき楽しかったよね」と、少しでも共感して下さる方がいればとても嬉しいです。

 2004年は運と根性と周囲への根回しで、12月10日大阪以外のすべての公演に参加できました。次回コステロたちが来日するときも今回と同じ無理がきくかは分かりませんが、2004年に負けない情熱で楽しもうと思います。ファンの皆さん、これからもどうぞよろしくお願いします。
(03/27/2005 hitomi)
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